同人印刷所の雑感 -同人誌編-
この記事では、過去に自分がその印刷所を選んだ理由、そして使った感想を雑多にまとめています。
感想は個人的なものなので、決して各印刷所を貶す意図があるわけではないことをご了承ください。
あくまで個人的にこう感じた、という話です。
2019/05/05:プリントオンさん追記しました。
2020/01/10:ブロスさんとホープ21さんを追記しました。
▪️使ったことのある印刷所
・オレンジ工房
・ポプルス
・栄光印刷
・PICO
・プリントオン
・ブロス
・ホープ21
・OneBooks
以下グッズ製作で利用したことのある印刷所
・アクリルグッズの達人
・Mydo
・ポプルス
・オレンジ工房
・おたクラブ
・オンデマンド倶楽部
・イロドリ
以上です。もしかしたら書き忘れがあるかもしれませんが覚えている範囲ではこんな感じ。
同人歴10年になりましたが、基本的に年1しかイベントに参加せず、あまり精力的ではなかったため、試したことのある印刷所さんはあまり多くないです。
それを念頭に入れた上で読んでいってください。
▪️オレンジ工房
初めての印刷所として選んだのはオレンジ工房。数多の同人処女を奪ってる印刷所なのではないかと思ってます。
理由はとにかく安い事。
当時学生の身だったこともあり、とにかく
・できるだけ安く
・少部数で作れる(最小ロット10部)
という理由で選びました。
2冊ほどここで作り、グッズも3〜4点作った感想としては、良くも悪くもお値段相当、という感じです。
とにかく安く作りたいならオレンジ工房はオススメです。
早期入稿で表紙と同じイラストのポスターをつけるなどの+アルファが充実しています。
その代わり、表紙を見ただけでオレンジ工房の同人誌だと分かるレベルの印刷と品質です。ぶっちゃけ品質はそんなに良くないです。
ポスターやグッズも発色が独特なので見ただけでオレンジ工房の品だとなんとなくわかります。良くも悪くも分かりやすい印刷所です。
そしてこれは長期保存においての話ですが、在庫の数冊が表紙が剥がれたりしたのでその辺も少し気になった記憶があります。
(5年以上前の使用感ですが、今でも見ただけでオレンジ工房さんの品はなんとなくわかります)
▪️ポプルス
主にグッズで利用していましたが今年本を作ったので本の感想も合わせて。
【グッズに関して】
グッズは色んなものが1個から作れるのが魅力的。
お値段は普通くらい。高くもなく安すぎるわけでもなく、といった感じですが少部数印刷を受けてくださる所の中では比較的安めの印象です。
品質はかなり良い方です。アクリルグッズはラメを入れたりもできるので幅がありますが、アクリル系は粒子感がやや気になりました。あまり得意ではないのかも。
それ以外のグッズに関しては色の再現性が高く、満足がいく仕上がりになりますがその分お値段が張ることがあります。
ポプルスならではのグッズが多いのが利点です。
特に透明しおりは小ロットで扱ってくれているところがポプルスくらいなのでずっとお世話になっています。
品質が抜群によく、発色も綺麗です。
ただ、1個から作れるため基本的にグッズの余部はついてきません。
余部を期待するのであれば別の印刷所が良いです。
【本に関して】
季節ごとのフェアの遊び紙が型抜きだったりと凝っているため、それ目的で本を作りました。使いやすく綺麗な印刷だったので本の方の満足度も高いです。
独自のシステムで運用されているため、入稿や入金周りが分かりやすいのは利点ですが
その反面、クレカ決済以外の入金方法は少し手間がかかります。
早割などの割引系統はあまり行っていないため、その辺りは注意が必要です。
初心者でも使いやすい印刷所だと思います。割引の有無を気にしない人にはおススメです。
▪️栄光印刷
まだオンデマンドが主流ではない時代にオフセット印刷でお世話になりました。
色の再現性は普通。気になるほど変わったりはしません。
今はオンデマンド印刷も対応して10部から作れるようです。
・オンデマンド:最小ロット10部
・オフセット:最小ロット50部
早割を使うとオフセットでもオンデマンドクラスのお値段で印刷できるのが魅力的。
特にオフセット限定ですが、50部と100部の間が500円差しかないため、オフセットで利用するなら100部刷るのが一番お得です。
自分はオフセットでしか利用したことがないのですが、入稿周りも分かりやすく、クセの少ない印刷所という印象です。
品質も満足のいくものでした。
ただ、自分は起きたことはないのですが友人が栄光を利用していた際に表紙が剥がれたりすることがあったようです。
そういう意味では少し品質にムラがあるのかもしれません。
締め切りはそんなに早くなく割引が効くのでスタンダードに使う分にはクセの少ない印刷所のイメージです。
▪️PICO
色んな割引をやっていたりジャンル別フェアが盛んな印刷所。
フェアページは分かりやすい反面、印刷メニューがやや見づらく、料金表や見積もりが取りづらいのが難点です。
お値段はそれなり。締め切りが他よりも長く、前々日入稿まで対応しています。極道入稿をする際は電話連絡が必須。
表紙と同じ絵柄のポスターを無料で作れたりするので販促物をついでに作りやすいのが◎
ジャンル応援企画の特殊PP加工無料や特殊色箔押しなどジャンルを応援する企画が多いのが特徴。
また、ジャンル応援企画にないマイナージャンルの場合別ジャンルの応援企画のメニューを3つ持ってきて適用できるマイナージャンル応援企画というものも存在するので、実質全ジャンルカバーしているのがすごい。
品質は普通。可もなく不可もなくといったところ。色の再現性はとても高いです。
料金表の見方が分かれば使いやすい印刷所です。
オフセットメインでオンデマンドも扱ってはいますが最小ロットは30部なので少部数向きではありません。
それなりの部数を刷る人でフェアの特典を使いたい方向けという感じの印刷所です。
イベント当日に名刺を持って挨拶に来てくれたりするので丁寧な印刷所だなぁと思った記憶があります。
(流行ったジャンルのフェアをすぐに開催してくれるので旬に詳しいイメージ。)
◾︎プリントオン
同人誌の装丁に凝りたいならこの印刷所を使えと言われるほどに装丁の種類が豊富な印刷所。
箔押しやブックケースなどの特殊加工本はもちろんのこと、自分の同人誌の装丁を印刷所側に決めていただく「わくわくドキドキセット」は1度は使いたいと思っておりました。
原稿をやる気力が出ないときはプリントオンさんの特殊装丁リストを眺めて、架空の本を作る幻覚を見ながら過ごすほどにアクセスしていた印刷所です。
満を辞して特殊加工が必ず1つは入る「わくわくドキドキセットDX」を頼みました。
仕様の欄にどんな雰囲気にしてもらいたいかを入力して入稿。仕上がったのはこちらです。
装丁のイメージはわくわくポップなイメージでとお願いしました。
表紙はクリスマス限定の特殊用紙だと思います。基本の表紙替えの一覧にありませんでした。そして角レース加工。
この上なくきらきらしてます。遊び紙も星の箔押しが入ったもの。
自分のイメージではシンプルに文字の部分だけニス盛りが来るかな?と思っていたのでビックリしました。めちゃめちゃ豪華に作っていただきました。ありがとうございます。
プリントオンさんは季節ごとのフェアが多く、フェア限定の特殊用紙、特殊加工が豊富なのも特徴の1つです。
また、フェアは早割で最大30%割引なこともあり、原稿を用意し終わってから印刷所を探す方に向いています。逆に通常締め切りでは他の印刷所と比べてやや割高になってしまうため、早割での利用を想定して使う印刷所という感じでした。
入稿や入金周りは特に何のトラブルもなく、使い勝手はとても良いです。
特殊装丁を盛りたい、こだわった本を作りたい方におススメです。
▪️ブロス
老舗で、対応が丁寧と評判の印刷所。オンデマンドも扱っていますか基本はオフセット。締め切りはやや遅め。
最小ロットは10部から。
サイト上で簡易見積もりが取りやすく、見積もりの時に一冊あたりの単価や特殊表紙の場合の紙の値段、加工の値段の詳細などを表示してくれるのでオプションをいじっての比較がとてもしやすいのが◎
反面、セットの名前が独特なので初見ではどのセットがオンデマンドでどのセットがオフセットなのかがわかりづらく、見積もりの時に混乱しがち。セットを利用しないのであれば見積もりはしやすいです。
基本のセットの価格は割安ですが、PP加工や特殊用紙を使うとそこそこのお値段になります。
逆に他の印刷所では不透明になりがちな特殊紙の値段の差をじっくり比較検討しやすいため、自分の財布と相談しながらの発注ができます。
簡易見積もりをそのまま保存して発注ができれば良いのにという部分がちょっとマイナス点になりがち。
オンデマンドでお願いしたところ、かなり丁寧に梱包されて届きました。部数をひとまとめにして紙で括ってくれているため、在庫の管理がしやすいです。
比較的かっちりとした製本とのことでしたが、時期が悪かったのか少し湿気で本が歪んでしまっていたものがあったりしたため、その部分の評価はしづらいです。
表紙の再現性は普通。良くも悪くも昔からある印刷所だなという印象でした。
入稿や入金回りはそこまでごたつきはしなかったので、比較的初心者でも難なく使える印刷所だと思います。
▪️ホープ21
締め切りが遅いのに割引率が高くてビックリしてしまった印刷所。
最小ロットはオンデマンド10部、オフセット50部。
サイトで詳細な見積もりを取ることができ、設定した納期であれば締め切りまであと何日というのを分かりやすく表示してくれるため、モチベや締め切り日程の確認がとてもしやすいです。
通常締め切りの4日前に入稿すれば最大25%オフ。その後、通常締め切りまで1日ごとに5%ずつ割引率が変動し、25%オフに間に合わなくても20%や10%オフで入稿などの柔軟な対応ができます。
自分でスケジュールを切る時に早めの締め切りにしても日毎にリスケ対応ができ、最悪極道入稿がイベントの2日前まで存在する神のようなところ。
それだけではなく、早く原稿を仕上げた良い子には同印刷所で1ポイント1円から使えるポイントが最大で印刷費の30%還元されるキャンペーンや、早期入稿で箔押し、特殊紙、PP加工代が無料になったり
さらには大判ポスターやポストカードもプレゼントになる太っ腹なキャンペーンを開催しているのが魅力。
再販本を早期入稿し、ポイント還元を最大限に利用した後に新刊にポイントを充当して早割+ポイント割引などができる強みを持ちます。ポイント還元という言葉にとても弱い人種なのでそれだけで惹かれてしまいました。
基本の価格は標準といったところだけど、割引率がとにかく高いため相対的にはとても安く品質が良い本ができます。
オプションがとにかく豊富で、箔押しや空押しに更に加工を施すことができたり
部数が多い時に表紙だけオンデマンド、本文オフセットなどの対応もできます。
他の印刷所ではもう箔押しが間に合わないという締め切りでも対応してくれた上に綺麗に刷っていただけて感動しました。
製本はかなりかっつりしており、余部もそこそこついてきます。
コスパがとてもよいのでオススメです。
見積もりナビの結果を保存してそこから発注できるようになれば文句なしの印刷所です。
あと地味に本文用紙を指定したら背幅を自動算出してくれたりするので、背幅考えるの苦手芸人はとても助かっています。
▪️OneBooks
一番美味しいものは最後にとっておく主義、というわけではないんですが今まで書いてきた印刷所の中で群を抜いて個性的なので最後に持ってきました。私の本命。
小説同人誌を少部数で出すならここが一番というくらいオススメなのですが、他の印刷所と比べてとにかくとっつきづらいことが難点です。
最小ロットは1部から。
何冊作っても1部の値段×冊数となり、冊数による割引や早期入稿による割引がないのが特徴です。
代わりに基本仕様としてカバーと帯が標準でついてくるため、文庫サイズでカバー付きの同人誌を作るならここ!というくらいオススメです。
特にページ数がかさんでも値段が一気に上がることがないため、安心して厚めの本を出すことができます。
また、本文のカラーモノクロを問わず料金が一律なため、少部数でフルカラー同人誌を作る方やカラーモノクロ混在の同人誌を作る方にもオススメです。
小さい印刷所なので、他のところに多い箔押しオプションや特殊加工は少なめです。
箔押しはできないこともないですが単価が高くなります。
事前に入稿予定日の予約が必須で、1ヶ月前から予約を取ることができます。
他の印刷所では原稿を仕上げてから仕様を決めて当日入稿という形が少なくないですが、ここは逆に入稿日を自分で決めて予約を取るスタイルになります。
大型イベントの前などはイベントの2ヶ月前に予約受付終了ということもままあるため、予約は早めに取るほうがいいです。
入稿日や原稿の仕様については実際に入稿する際に変更点を伝えることで対応してくださるので、予約を取っておけばあとはとても柔軟に対応してくださります。
難点として、基本的に各印刷所には入稿用のテンプレートが存在し、それに則ってデータを作り入稿するのが一般的ですがOneBooksさんはそういったものが一切存在しません。
2019/3/11追記:テンプレートができました。丁寧に作られているため、初心者でも使いやすいテンプレートです。
テンプレートを使用しない場合の入稿も大丈夫とのこと。非常に柔軟に対応してくださる印刷所です。
入稿に関して。他の印刷所では会員登録をしてサイトにあるアップローダーに入稿する形式を取っているところがほとんどですが、OneBooksさんは全てメールでのやりとりとなります。
入稿方法はデータをファイル転送サービスなどにアップロードし、そのURLをメールで伝える形式になります。
入金周りは非常に柔軟に対応してくださり、他の印刷所が入金確認後印刷開始なのと比べて、入稿直後から印刷に着手してくださるところも特徴の一つです。
自分はよく1冊だけ作る際は着払いで作っていました。銀行振込やコンビニ決済にも対応しています。
データ作成やメールでのやり取りなどのハードルは高いですが、その分クオリティも高いので小説同人誌を作る方にはオススメの印刷所です。
長くなったので一旦この辺で。同人印刷所を選ぶ際の基準の一つになれば幸いです。
今後使ってみたいのはねこのしっぽさん。
使ってみた後雑感を書けたらなぁと思います。
残りのグッズのみ利用したことのある印刷所に関しては別記事に続きます。