同人印刷所の雑感 -グッズ編-
この記事では、過去に自分がその印刷所を選んだ理由、そして使った感想を雑多にまとめています。
感想は個人的なものなので、決して各印刷所を貶す意図があるわけではないことをご了承ください。
あくまで個人的にこう感じた、という話です。
同人誌編はこっちhttps://sdekmono.hatenablog.com/entry/2018/10/18/104251
▪️はじめに
グッズ編を書くにあたって、自分用に1個だけ作りたい方もいるかなと思ったので、1個だけ作る場合の話を先にしますね。
自分が1個から作れるところで自分や友人の誕生日用に1〜2個グッズを作るタイプなのでその経験より。
1個だけ作る場合、ほとんどの場合送料が製作費を上回ります。
1個あたりの製作費が400円〜500円として、送料は1000円のことが多いです。
そのため、1個だけ作ると400円の品の場合1400円支払うことになります。
結果的に多めに作った方が安くなったり送料無料になったりするので、お試しで作る場合は送料のことも考えておくと良いと思います。
それを回避するために店舗に足を運んで受け取れる印刷所もありますので、その辺りは後述していきます。
2019/03/11追記:オンデマンド倶楽部を追加しました
2020/01/10追加:おたクラブのアクリルスタンドを追加しました
▪️使ったことのある印刷所
・オレンジ工房
・ポプルス
・アクリルグッズの達人
・セカンドプレス
・ZEAMIArt
・Mydo
・おたクラブ
・オンデマンド倶楽部
・pixivFactory
以上です。同人目的以外で個人的にTシャツやその他で利用したことのある印刷所もありますがそこは割愛で。
一部同人誌編で書いた部分もありますが、もう少し細かく書けたらと思います。
特にグッズに関して自分が一番気にしていることは色の再現性とアクリルの場合は粒子感です。この辺りは値段に関わらず起こることなので(当然値段が高ければ起こる可能性は低くなります)結構気にしているのですが、5〜6年前と比べて印刷所の技術が格段に向上したのか
ここ数年使った印刷物で色味の変化について感じたことはあまりないです。
この雑感は各印刷所さんを使ってた時期がバラバラなのでそれを念頭に入れた上で読んでいってください。
▪️オレンジ工房
初めてグッズを頼んだのはオレンジ工房さんでした。やっぱり数多の同人処女を奪ってきた印刷所なのではないかと思っています。
私が印刷所にお願いを始めた当時(2010年〜2011年ごろ)はあまり少部数でグッズを受けてくださる印刷所が少なかったこともあり
・少部数で作れる
・安く作れる
の2点からオレンジ工房さんにお願いをしていました。
お願いをしたのはポケットティッシュとミニうちわ。
今はRGB入稿をしてもほぼほぼ色劣化がなくなりつつありますが、当時はCMYKに変換しての入稿だったため、色の劣化(淡くなる)がやや気になった印象でした。
ポケットティッシュが淡い色合いだったので特にそう感じたのかもしれません。
ミニうちわは綺麗に発色しており、骨もしっかりしていたので満足したのを覚えています。
今でも色々作れるみたいで、昔は1部では作れなかったものも1部から作れるようになったみたいです。
グッズについてはものすごく安いわけではありませんがそれなりに安くそこそこのものが作れる印象です。
発色についてはだいぶ昔の話なので今はどうなのかわかりません。
▪️ポプルス
グッズは色んなものが1個から作れるのが魅力的。
お値段は普通くらい。高くもなく安すぎるわけでもなく、といった感じですが少部数印刷を受けてくださる所の中では比較的安めの印象です。
お願いしたことがあるのは
・アクリルキーホルダー
・透明しおり
・フルカラー名刺
・フリーシール
・フリークッションストラップ
品質はかなり良い方です。アクリルグッズはラメを入れたりもできるので幅がありますが、アクリル系は粒子感がやや気になりました。あまり得意ではないのかも。
それ以外のグッズに関しては色の再現性が高く、満足がいく仕上がりになりますがその分お値段が張ることがあります。
特にクリアしおりは小ロットで扱ってくれているところがポプルスくらいなのでずっとお世話になっています。
品質が抜群によく、発色も綺麗です。
逆に気になったのはフルカラー名刺。名刺に黒を多く使ったからなのかわかりませんが、かなり反ってしまっていたので、そこが気になりました。印刷のクオリティは申し分ないだけに少し残念。
シールは頼んだ枚数分連結して届き、300枚頼んだら100枚が1シートになったものが3枚届きました。10枚単位に切り分ける作業がやや大変だったくらいで、シール自体の出来はとても良かったです。
フリークッションストラップは1個あたりのお値段が張る分、めちゃめちゃ可愛いです。これはオススメしたいレベルなのですが、なにぶん単価が高いためグッズとして出すには難しく、自分用に作るのがベストかなという印象。
ビーズクッションではないのにとてももちもちした素材で手触りがよく、握ってて幸せになるクッションストラップができあがりました。
全体を通してクオリティが高いのがポプルスさんの特徴ですが、1個から作れるため基本的にグッズの余部はついてきません。
余部を期待するのであれば別の印刷所が良いです。
▪️サンライズ
少部数といってもここは1個からではなく最低ロットが30部から(ものによっては50〜100から)なので、がっつりグッズを作りたい方向けです。
メモ帳の印刷を2種お願いしました。
最低部数は30部から。
1つはフルカラーメモ帳、もう1つは月別で色とインクが変わるメモ帳。(入稿月によって紙色とインク色が固定されてるもの)
少し入稿周りで手間取った印象だけありますが、クオリティは申し分なく綺麗に印刷されます。
メモ帳は特に単価が安めなので作りやすいのですが、その分1枚あたりの紙が分厚いのがやや気になりました。普段使いできるものが作りやすいです。
私は利用したことがないのですが、アクリルキーホルダーがRGB入稿可能でカットラインと白押さえを無料作成してくれるサービスができたようです。(3年前にはなかった)
全体的に部数を刷れば安い印刷所ではありますが、最小ロットの壁がやや高い印象ではあります。
ちょっと入稿周りや同じ系列の会社が他にもいくつかあり、サイトがあっちこっちに飛んだりするため初見は困惑するかもしれません。
その辺りの手間の煩雑さやわかりづらさを抜けば使いやすい印刷所だと思います。
▪️アクリルグッズの達人
名前からして強そう(小並感)。初見はビビりました。缶バッジの達人もあるらしい。
1個からアクリル関係のグッズが作れます。お値段もかなりお手頃価格。(もっと安いところもありますがアクリル系は粒子感と色の再現性の問題でかなり印刷所を選んでました)
特に大きいサイズのアクリルキーホルダーのコスパがとても良いです。
他の印刷所だとこのサイズはかなりお値段かかってしまう、みたいなものでもお手頃価格なのが良いところ。
アクリルスタンドもかなり大きめのサイズまで作れます。
名前の圧に押されて使ってみたところ、とても綺麗に印刷されました。粒子感もほとんどなく、色の再現性がめちゃ高い。
【他社比較用】
左がアクリルグッズの達人で右が他社のもの。
濃い色になるとザラついた印刷になる部分(粒子感)がほとんどない印象でした。(写真だとわかりづらいですが)
代わりにカットラインを自分で作ったり、テンプレが微妙に不親切だったりするのが難点。
サイトはとっつきやすそうなのにデータ作成面がやや難易度が高い印象でした。
入稿や入金周りは他の会員登録制印刷所と変わりません。
カットラインについては有料ですがカットライン作成サービスがあるので比較的初心者でもおススメです。
■セカンドプレス
缶バッジ専門の印刷所です。
正確には缶バッジ関係のグッズであれば作れるといった感じで、缶バッジのほか、缶バッジマグネット、缶バッジストラップなども作れます。
缶バッジと缶バッジストラップお願いしたことがあります。
最小ロットは10個。サイズの種類が豊富なのと色の再現性がとても良いです。
特にパステルカラーが綺麗にでます。
ここの利点は何種類作っても最終発注個数で割引適用してくれること。
他の印刷所では絵柄が違うものを複数種類混ぜ込んだ場合、個数割引は適用されずそれぞれの個数での値段計算となるところを、1回の会計での合計発注数で計算してくれます。
そのため、複数の絵柄を少数で発注する場合にオススメです。(6種の缶バッジを20個ずつなど)
缶バッジの形が丸か四角しかないのが難点ですが、スタンダードな缶バッジを作るのであればオススメです。
また、複数絵柄を頼んだ場合でもそれぞれの絵柄に余部をつけてくださります。
少部数だとほとんどつけてくれないのが当たり前なのでとても驚いた記憶があります。
■ZEAMI Art
ここも缶バッジ専門の印刷所です。
最小ロットは30個から。
ここもマグネットやクリップピン型の缶バッジが作れます。
丸以外にも角丸四角やひし形などが作れるのが特徴。
色の再現性はやや微妙で、少し濃いめに発色します。
全く同じ絵柄のものを前述のセカンドプレスさんとこちらに発注した際に色味の差がだいぶでたのが印象的でした。
同じ絵柄を乗算レイヤーで50%重ねたくらいの濃さで出力されると考えるとイメージとして近いと思います。
また、表面をクリアコートがけされたような光沢感が出ます。やや高級感のある缶バッジに仕上がるイメージ。
データ作成や入稿周りはさほど難しかった記憶がないので作りやすい部類だと思います。
■Mydo
よく話に聞くグッズ印刷所ナンバー1のイメージが個人的にあります。
アクリルキーホルダーを頼みました。
納期が短く、料金も比較的安いです。
白押さえやカットラインを自分で作らなくて良いのが利点。
別途自分で白押さえを作成したい場合はデータとして作って渡すことができます。
これがMydoさんにお願いしたもの。
友人用に2個だけ作成したものの納期的に間に合うかわからない期間でお願いしてしまったのですが、予定日より早く納品してくださりとても助かった記憶があります。
粒子感は濃い色のところに出るかもなぁ?くらいの認識。
色の再現性は普通です。
比較的空いてる時期だと早めに納品してくださることがあるようです。その節は大変お世話になりました。
また、2個しか頼まなかったのですが予備としてキーホルダーの金具のついていないものがついてきて、丁寧だなぁと思った記憶があります。
(前述しましたが少部数対応のところはあまり余部をつけてくれないため)
■おたクラブ(2020/01/10追記)
いろんなグッズや本を実店舗でも作れる印刷所。
東京と大阪にそれぞれ店舗があります。
ここは宅配制作と店頭制作とで作れるものの種類と最小ロットが変わるため、細かい箇所は公式サイトを参照ください。
店頭印刷で
・マグカップ
・スマホケース
・ポストカード
・缶バッジ
・ノーカットシール
・大判ポスター
宅配制作で
・アクリルスタンド
お願いしたことがあります。
店舗で作成する場合は、
①家でデータを作成→公式サイトより入稿
②実店舗に足を運ぶ→店頭制作用の会員登録&滞在料金300円の支払い
③渡されたナンバープレートを持って待機室兼作業室で呼び出しがあるまで待機
④全ての制作物の印刷が終了したら会計にて制作物の会計
という手順でグッズを制作してもらいます。
※2020年1月下旬よりこの手順が当日午前10時までに入稿したものを順次印刷、印刷完了連絡が届いたら店頭に受け取りに行くシステムに変更になるそうです。詳細は公式サイトを参照ください。この記事では2019年12月までの店頭制作について書いています。
本や缶バッジ、ノートなどの製品は、待機後に呼び出され、印刷されたものを自分で作業する工程が挟まります。
この際に発生したロス(不良品)も全て買取対象となるため、作業が挟まる製品はあらかじめ発注数を少し多めにしておくと良いです。
店頭制作の場合は店舗について受付してから印刷を開始するため、イベント前日などは混み合っていて受付を停止していたり、受付後長時間待機したりすることになります。
平日も営業しているので、平日に立ち寄ると比較的短時間で制作できるそうです。過去最短が作業時間込みで30分程度でした。
RGBの印刷が得意とサイトで謳っている通り、色の再現性は抜群です。画面で見たものとほとんど変わらない状態で印刷されます。
難点があるとすればテンプレートがややわかりづらいことでしょうか。
最終的には最初のテンプレートに入っていた説明レイヤーを全て削除する必要があるのですが、少しわかりづらかったです
宅配制作については他の印刷所と変わりはありません。
店頭と同じマイページからの入稿の際に宅配制作を選ぶだけで、入稿までの手続きやテンプレートの違いはないです。
アクリル製品やクッションなどの一部の製品は宅配制作のみの対応となっております。
アクリルキーホルダー、スタンド共に最小ロットは5個。
アクリルスタンドをお願いしました。
粒子感は気になるほどではありませんが少しあります。サイズに対しての値段のコスパが◎
大きめのアクリルスタンドも小ロットで安くうけてくれるので、自分や身内用に少しだけ作るなどがしやすいです。
他の印刷所との大きな違いは、複数種類の絵柄を混ぜ込んでも最小ロット5個以上の単位で発注するならばロット割引が適用される点。
(例:4種類の絵柄のアクリルスタンドを10個ずつ発注の場合、40個発注と同じ値段で1つの注文でうけてくれる)
複数のキャラのアクリルキーホルダーやスタンドを一気に作りたいけど、個別の数はそこまで多く作るつもりはない時に注文をまとめることができて割引も適用されるため、たくさんの種類を作るグッズサークルさんなんかは使いやすいのではないでしょうか。
アクリルスタンドは台座の種類が豊富で、繋がる台座で作ることも可能です。台座への印刷はできません。
ただ、私のデータ作成が甘かったからなのか、台座にたてた時かなり緩くて、スタンドとしては少し不安が残る作りでした。
袋詰めは別料金。袋詰めオプションをつける場合は納期が+4日されるのでご注意ください。
オプションでアクリルキーホルダーにもなるボールチェーンをつけることができます。
◼️オンデマンド倶楽部
オンデマンド印刷に特化した印刷所。
様々なグッズが小ロットから作れます。
アクリルキーホルダーとアクリルスタンドをお願いしました。
両方とも最小ロットは10個から。
ハートナスカンアクリルキーホルダー
グロス加工アクリルキーホルダー
アクリルスタンド(黒桜台座)
ここの利点はカットラインが実線なところ。
多くのアクリルキーホルダー関連の印刷所がカットラインはパスで作成することが多い中、実線でよいため初心者にもおススメです。
(全くわからない初心者向けに15円でお任せアシストがつけられます※30個以上は無料)
色の再現性は高めです。オンデマンド印刷だからなのか、画面とほとんど変わらない仕上がりになりました。粒子感は大きめのサイズだと少し気になります。
この印刷所の特徴はなんといってもオプションの豊富さ。
ナスカンの種類はもちろんのこと、
アクリルキーホルダーは裏面にグロス加工ができ、アクリルの裏面(白いところ)に模様を追加することができたり、アクリルスタンドの台座の種類が豊富です。
ただし、アクリルスタンドは台座を自由に作成したり台座印刷をしたりはできません。
また、アクリルの厚さを選べることができるのも特徴です。
2mmで作ってみたところ、他社よりやや薄く感じました。アクリルの厚さを気にしないのであれば2mmでも問題なく印刷できます。
私は試していないのですが、ホログラムアクリルキーホルダーというのも作れるみたいなので、気になる方は是非。
そして小ロット限定になりますが、配送方法をネコポスにできるため、10個作った時の送料が控えめにできることも密かな魅力。
お手頃価格で小ロットから作れるため、気軽に試せる印刷所です。
アクリルグッズの他、クリアカードやUSBなんかも作れたりするのでいつか試してみたいです。
■pixiv Factory
おまけですがpixiv提携サービスのpixiv Factory。
pixivアカウントがあれば全てのグッズが1つから作成でき、データ1つでそのまま在庫を抱えずにBOOTHで販売もできるpixivの印刷所。
最近は本も作れるようになったようです。
データ作成については独自のブラウザ上で調整できるため解像度を気にせず作れ、初心者にとても優しいです。
その反面アクリルキーホルダーなどは透過を綺麗にしないと1ドット単位のゴミまで自動カットラインに含まれたりします。
とてもグッズ作成初心者に優しいのですが、とにかく単価が高いのが難点です。
特にpixiv Factoryで作成したものをそのままBOOTHに出す場合、最低ラインの原価の時点で同種のグッズの平均価格の2倍はします。
そこは受注生産システムなので単価が上がるのは仕方のないことではありますが、自分用に作る以外ではあまりオススメできません。
色んな種類のグッズを手軽に作れるので、自分用や友人向けのプレゼントとして手軽に何かを作る分にはとっつきやすく作りやすいです。
以上、振り返ってみると少ないようで色んな印刷所を利用してきたのだなと思いますね。
ここに書いた以外にもグッズ専門の印刷所はまだまだたくさんあります。
単価や最小ロットの問題でなかなか手を出せてないことが多いのですが、いつか挑戦できたらなぁと思います。
その時にはまた雑感をかけたらいいなぁ。
そんな感じで、同人印刷所雑感 -グッズ編-でした。
お付き合いくださりありがとうございました!